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そのまま男は輝夜に目を向ける。

「輝夜、よく働いてくれたな。さすが、俺の妃だ」

「…………」

輝夜はほんの一瞬、言いたい事は星の数程あるというような複雑な顔をした。

しかし、すぐに帝の妃らしく微笑んで返す。

「貴方様のお役に立てたのなら、幸いでございます」

輝夜と視線を交わしてから、男は蛇集に向き直った。

「俺が誰か、分かっているな。俺は飛龍、豊葦原を治める帝だ」

蛇集から部屋に集まる人々へ、その深い眼差しが巡る。

「お前達の狙いは俺だろう。わざわざ出向いて来てやったのだ。俺を討ちたい者は掛かって来い。幾らでも相手をしてやる」

力強い声が、静まり返る部屋の隅々まで行き渡る。

「それで俺が倒れるなら、お前達に理があるという事だ。帝位などくれてやるさ。民が俺をいらぬと言うなら、帝で在り続けても仕方無いからな。だが、もしもそうならず、変わらず俺が帝であったなら」

飛龍はそこで言葉を切り、更に力を込めて続けた。

「覚えておけ。俺の国を、民を傷付ける事は許さん!俺は帝と呼ばれ、その名の元に今回も民が集ってくれた。帝を信じていれば、いつか豊葦原を良くしてくれる。そう思ったから、命を捨てる覚悟で集ってくれたのだ」

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