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反逆など師が企む筈は無い。

ただ、宮中に仕える者の過ちを指摘しただけで偽りの罪を被せられた。

当然のこちらの訴えさえも、上まで届く事は無かった。

そして師は最後まで己の潔白を言い続けて殺された。

どれ程無念だっただろう。

ずっと帝の為に、と戦い続けて来たのに。

だから赤羽はやり切れなさを抱え、書面を帝に突き付けたのだ。

『どうして、あんな横暴を許していたんだ。お前がのらくらしていた間にどれ位の人間が死んだと思う。俺の師だけじゃねえ、同じように無実なのに処刑された奴は他にも沢山いる。お前の父親が許していた処刑が本当は誰を裁くべきだったのか、これを読んで考えろ』

華やいだ宴の場は、水を打ったような静寂に包まれた。

赤羽は周囲など気にもせず、ただ帝だけを睨み付けていた。

帝は感情の見えない瞳で、黙ったまま見返した。

今更何を言ったところで、死んだ者は帰っては来ない。

そんな事は赤羽も痛い程分かっていた。

それでも、これまでこの国で行われて来た事を帝に伝えたかった。

彼の治める国が今、どれ位荒れているのかを。

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