09
飛龍は理解が及ばないという顔で賢彰に言った。
「輝夜は何だか機嫌が悪いな」
「いいじゃないですか。女なんか邪魔になるだけだってずっと言ってた飛龍殿には、まさに理想の相手でしょう?」
「ふざけるな。それは輝夜を女とは思っていないからだ」
「私はもう、飛龍なんか冷たく無視するわ!」
怒鳴った輝夜に聞こえないように、賢彰が小声を出した。
「ああして喧嘩しても、一瞬後には仲直りしてるんですよ」
「そうだろうね」
笑いを堪えて漣星が答え、それからふと息をつく。
こんな風に心から笑いが込み上げて来るのは、いつ以来だろう。
もうずっと、そんな事は忘れていた。
あの荒れた大地の上で。
神からも見放された冷たき大地の上で。
それでも願い続けていた。
終わらない願いの為なら、どんな利用も犠牲も厭わない程。
回復を、願い続けていた。
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Reservoir Amulet