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「あ、持って来てくれたの?有り難う」

輝夜は受け取った懐剣を懐から取り出した鞘に納めながら、小さく息をつく。

「あの時は私、自然に体が動いたの」

「そうだろうな。考えていては、あんなに早くは反応出来なかっただろう」

「ええ。だから、お礼を言われる事ではないと思うわ。貴方がまだ死ぬべきではないから、死なせないよう体が動いたのよ」

「どういう事だ?」

問われて、懐剣を持つ手に力を込める。

「その為に私はいるから。貴方はこの豊葦原にとって必要な人。いずれこの世界を変えるでしょう。もしもまた同じ状況になったなら、私は何度でも同じ事をするわ。絶対に、貴方だけは死なせない」

どうしてそこまでしようとするのか。

その時、飛龍は尋ねる事が出来なかった。

そうしてしまったら、この強くて儚い少女が自分の側からいなくなってしまう気がして。

知らなくても信じると決めた相手から、話したくない事を無理に聞き出したくはなかった。

それでも、湧き上がって来る疑問は抑えられない。

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