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二人のやり取りに、首をすくめて賢彰が呟く。

「犬も食わないって本当ですね」

「邪魔をしないように、少し速く歩こうか」

「賛成です。僕達の存在は、きっと忘れられてますから」

足を速めた賢彰と漣星の後ろでは、まだ言い争う声が続いている。

「もう、無神経なんだから!私を妃だなんて言うなら、労りの気持ちを表してみたらどうなの?」

「お前こそ、そうしてほしいなら素直に甘えたりしてみたらどうだ」

「そ、そんな恥ずかしい事、出来る訳無いでしょう!」

繋がれた手はそのままで、素直になり切れない気持ちをぶつけ合って。

駆け抜けて行く時間が降り積もった先に、二人共にある未来があるなら。

そんな未来を夢見る事が、もしも許されるのなら。

今は結んだ手の温もりを頼りに、尊い時をこの身に刻み込む。

いつか飾らないそのままの言葉で語り合う夜まで。

静寂の中ひたすらにお互いを感じ合う夜まで。





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