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輝夜は矢を放ちながら心を静め、悪意ある神に語り掛ける。

しかし無情な程、神々には届かない。

響かない。

輝夜は唇を噛み、目を上げて空を見た。

昼間なのに薄暗い、不気味な空。

嵐の前のように、不気味に静まり返った空。

人には手の届かない空は、静かなままだ。

このままでは、どうにもならない。

こんな所で皆を、この人を死なせる訳には。

「……飛龍、馬を止めて」

「何?」

「私を降ろして、先に行って。あれは私が何とかするわ」

飛龍は一瞬だけ振り向いて、吐き捨てるように言った。

「下らぬ事を言うな。俺はお前を死なせる為に連れて来た訳では無い」

「分かっているわ。私だって無駄死になんて御免よ。私になら何とか出来るから言っているの。でも、その為に皆を危険にさらしたり出来ないでしょう。飛龍、私を信じて。二人と一緒に先に行って」

「………良いだろう」

やがて、飛龍が低い声で答えてから付け足す。

「ただし、俺も残るぞ。こんなにも神々が荒れているのは、俺のせいでもあるのだからな」

「分かっているの?神に喧嘩を売る事になるのよ」

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