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「今更遅いだろう。俺はもう何度も荒御魂と化した神を斬って来た。とうに喧嘩を売っているようなものだ」
いつもの飛龍の調子に、輝夜は苦笑を浮かべた。
「貴方は本当に、私の予想を簡単に凌ぐ人ね。貴方がそう言うと、何でも上手く行く気になるから不思議だわ」
「では、あの二人を先に行かせて馬を降りるぞ」
「ええ」
飛龍は両側を走る賢彰と漣星に向かって声を掛ける。
「全力で走れ!絶対に振り向くな!」
既に荒ぶる神は、必死で駆ける馬のすぐ側まで迫っていた。
二人が言われた通りに更に速度を上げるのを確認し、飛龍は手綱を引き絞る。
嫌がる馬を何とか止めて、輝夜と共に飛び降りる。
手綱を放すと、馬は誰も乗っていなくても二人が駆け去った方へ走って行った。
飛龍は太刀を抜きながら、追い付いて来た荒御魂の方を見やる。
「死ぬ気ではないな、輝夜」
「勿論よ。私はあれを、止める」
会話を交わす間に神々は二人を取り囲み、少しずつ近付いて来る。
獣の姿の神々が人間に抱く敵意が、突き刺さる程に痛い。
(私の声はもう、神には届かないのね。もう、私は)
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Reservoir Amulet