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不気味な位に静まり返った大地の上を、馬の駆ける音が響く。
先程訪れた暗闇は、一体何だったのか。
「二人が引き返したのは、多分この辺りだね」
馬の速度を緩めて、漣星が口を開く。
「荒ぶる神々の姿は見えないけど……。無事だよね、二人共」
「そうに決まってますよ!でもそれなら、どうして」
賢彰は言葉を切り、自分の馬の後ろに繋いだもう一頭の馬に目を向けた。
飛龍と輝夜が乗っていた馬だ。
二人が来ていないと気付いてから少しして、荷物を括り付けたまま走って来た。
飛龍と輝夜は乗せずに。
もしも二人が無事なら、どうして戻って来ないのか。
無事だとどんなに思っても、不安は拭い去れない。
「取り敢えず、この辺りを捜してみましょうか」
「うん、そうしようか」
馬を降りて歩き出すと、足音がやけに響く。
「……静かだね」
「はい。それに、さっきの光は……」
言い掛けた賢彰が、息を飲んで足を止めた。
目を見張って少し先を示す。
「あそこに倒れているのは、まさか……」
漣星も目を向け、顔色を変えた。
「とにかく行ってみよう!」
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Reservoir Amulet