03


『私の知らない所で勝手に死んだりしたら許さないから!』

(ああ、輝夜が怒るだろうな)

怒るならまだ良い。

悲しんで泣かれるよりはずっと。

『人はほんの少し道を違えただけで簡単に離れ離れになってしまうから』

本当にそうだ。

ほんの一瞬で、生か死かに別れてしまえば。

もう二度と手の届かない遠くへ行ってしまって。

会いたいと願う事さえ愚かなのだろう。

今もこの胸の痛みを和らげようとするように、穏やかな風が頬を撫でる。

全てはもう過ぎ去った事。

忘れてしまえば楽になれる。

それでも、そうと分かっていてもまだ、狂おしい痛みは甘やかに香る。

思い出すのは深い水の色の瞳、月の光のような輝く髪、心に降る時に優しく時に厳しい声、僅かに触れた温もり。

今更遅いと分かっているのに。

あの空の青さの中に彼女の姿を捜す。

『私に沢山大切な事を教えてくれて有り難う』

彼女が教えてくれた事、もたらしてくれた事が今なら自分にも分かるから。

会いたい、狂おしい程に。





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