06


出会ってから二人過ごした時間は、決して長くはないけれど。

積み重ねた想い出が確かにあるから。

何気無い記憶の一つ一つが、こんなにも甘く切なく光り輝く。

生きている間に出来なかった事、果たせなかった事は沢山あるのに。

どうしてなのだろう。

思い出すのは、輝夜の表情や言葉ばかりで。

伝えられないまま、聞けないままになってしまった事ばかりが悔やまれる。

まだ幼さの残る少女。

普段は男の身なりで、武器を手に臆さず戦場に出る。

最初は変わった奴だと思った。

女なんて皆、自分を生んだ母のように小狡い手段を使っても目的を果たそうとすると考えていたけれど。

『私も一緒に連れて行って』

あんなにも真っ直ぐ、正面から見据えて来る女には初めて会った。

挑むような眼差しで捕らえて放さない女を、他には知らない。

だからだろうか。

一緒にいて、疲れるどころか安らげて。

今まで誰にも話さなかった事さえ話せて。

いつしか、側にいる事を望むようになっていた。

『飛龍、私は死なないわ』

躊躇いながら微かに触れた白い指先が。

その温もりが、恋しい。

もしも何かを願う事が許されるのなら、一目だけで良い。

会いたい、輝夜に。

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