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そう言った後、誰かが近付いて来るのが分かった。

二人のすぐ側まで来て立ち止まった人物を見て、飛龍が息を飲む。

「飛龍、私だ。分かるか?」

穏やかに呼び掛けられ、まだ信じられない思いで答える。

「……まさか、父上ですか?」

「そうだ、久し振りだな」

隣の輝夜が、気遣うように尋ねる。

「飛龍のお父様?」

「ああ。先帝であった俺の父、龍眼だ」

懐かしい声、眼差し。

けれど父だった先帝が、国を荒らした原因の一つでもある。

飛龍の心を読んだかのように、龍眼は静かな口調で言った。

「お前と、一度話をしたいと思っていた」

「俺と、ですか?」

「お前は帝位を継ぎ、そして知っているのだろう。私がどれ程愚かだったかを」

「……それは」

龍眼は病に倒れ、政を結果的に捨てた。

周囲の者が実権を握り、豊葦原は荒れた。

「今なら分かる。私は愚かで無能だった。そしてそんな自分に気付く事すら出来ないままだった」

「父上、そんな事は……」

否定しようとして口をつぐむ。

今の豊葦原を見るなら、龍眼の言葉の通りなのかもしれない。

しかしそれは、いつか自分も犯すかもしれない過ちだ。

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