15
そう言った後、誰かが近付いて来るのが分かった。
二人のすぐ側まで来て立ち止まった人物を見て、飛龍が息を飲む。
「飛龍、私だ。分かるか?」
穏やかに呼び掛けられ、まだ信じられない思いで答える。
「……まさか、父上ですか?」
「そうだ、久し振りだな」
隣の輝夜が、気遣うように尋ねる。
「飛龍のお父様?」
「ああ。先帝であった俺の父、龍眼だ」
懐かしい声、眼差し。
けれど父だった先帝が、国を荒らした原因の一つでもある。
飛龍の心を読んだかのように、龍眼は静かな口調で言った。
「お前と、一度話をしたいと思っていた」
「俺と、ですか?」
「お前は帝位を継ぎ、そして知っているのだろう。私がどれ程愚かだったかを」
「……それは」
龍眼は病に倒れ、政を結果的に捨てた。
周囲の者が実権を握り、豊葦原は荒れた。
「今なら分かる。私は愚かで無能だった。そしてそんな自分に気付く事すら出来ないままだった」
「父上、そんな事は……」
否定しようとして口をつぐむ。
今の豊葦原を見るなら、龍眼の言葉の通りなのかもしれない。
しかしそれは、いつか自分も犯すかもしれない過ちだ。
- 263 -
[*前] | [次#]
しおりを挟む
ページ:
Reservoir Amulet