03
「あと、気になる事もある」
「何だ?」
赤羽に訊かれ、扶鋤は言い辛そうに続ける。
「二人が逝って、もう数日は経つが……。体に全く変化が無い。まるで眠っているだけのようだ」
「……でも、息はしていないのでしょう?」
「ああ……」
降りた重い沈黙の中しばらく歩いた所で、花を抱えてこそこそしている賢彰と漣星を見付けた。
「何をしている」
「わっ、扶鋤殿!もう、驚かさないで下さいよ」
「二人の事はまだ公にされていないからね。花を運ぶのにも気を遣っているんだよ」
「それは良いが、余計目立っていたぞ」
そこへ角鹿が口を挟む。
「あの、失礼ですがこちらの方は?」
「そうか、お前達は知らないんだったな。こいつは漣星だ。筑紫の件が片付いた後、飛龍が仲間にしたらしい」
紹介された漣星が、赤羽と角鹿に向かって軽く頭を下げる。
「輝夜からの報告を受け取っていたなら、もしかしたら名前位は知っているかもしれないね。僕は筑紫で領主に取り入っていた闇の者だ。二人の事については、闇の地へ案内した僕から説明させてもらうよ」
そう言って、抱えていた花を賢彰に持たせる。
「悪いけど、これを持って先に部屋に行っていてくれるかな」
「は、はい……。ちょっと、こんなに持つと前も見えないですけど。頑張って先に行きます」
「うん、宜しく」
二人がいる部屋は、既に花々で埋め尽くされているけれど。
こうして毎日新しい花を運び続ける。
まるで、飛龍と輝夜がいつ目覚めても良いように。
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Reservoir Amulet