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花の褥【しとね】の中でしばらくお互いの温もりだけを感じていた飛龍と輝夜は、不意に聞こえた何かが落ちるような音に我に返った。

音がした方に顔を向けると、部屋の入り口に硬直している賢彰が立っていた。

その足元には、彼が落としたらしい花が花びらを散らしている。

気まずい沈黙が流れ、やがて賢彰が声を上げた。

「ぎ、ぎゃああああー!」

悲鳴が響き渡り、すぐに足音が近付いて来る。

「どうした、賢彰!」

「何があった?」

「何事ですか」

「どうかしたのかい?」

慌ただしく走って来た赤羽達に向かって、賢彰は震える声で言った。

「ひっ、飛龍殿と輝夜が……だだだ抱き合って……!」

「はあ?何言ってんだ」

「賢彰、落ち着いて考えろ。死んだ者同士が抱き合うなど出来る訳が無い」

「ほ、本当ですって!ちょっと見てみて下さいよ!二人こう、ひしと抱き合って……!」

賢彰が一番近くにいた角鹿で様子を再現すると、皆は顔を見合わせた。

「何か分からないけど、とにかく見て確かめてみようか」

「そうですね。取り敢えず、貴方は離れて下さい」

角鹿が賢彰を体から引き剥がし、それから皆で揃って部屋を覗き込む。

「……全くお前達、相変わらずのようだな」

「驚かせてしまったかしら」

花の中で微笑む二人を見て、一度体を廊に戻す。

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