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「月読……。まさか、天神の御子の……」

「そうよ。けれど天神に逆らった罪で、この地上へと降ろされた。私がこの事を思い出したのは、貴方に会いに旅に出る少し前の満月の夜だったわ。私はそれからもずっと、天神に反対し続けて来た」

「何をそんなに反対しているんだ?」

その質問に、月読と名乗った輝夜が顔を歪める。

「この世界を、全てを混沌へと戻す事よ。再びやり直す為に」

「何?神が世界を滅ぼすと言うのか?」

「今の世界は存在する価値無しと、神は判じた。だから無に還そうと言うのよ」

輝夜の横顔には、全てを知る者の哀しみがあった。

闇の女神に語り掛けた時と同じ表情が。

「私はその考えを知り、反対した。この豊葦原には、既に多くの人々が暮らし沢山の生がある。それを滅ぼす事はしないでほしいと」

そしてその為に、輝夜は天上から地上へ追放された。

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