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「私が一人地上に来て寂しさを感じたように、人の上に立つ帝も孤独なのかもしれないって。だから会ってみたかったの。私にとっては貴方が、この豊葦原の未来そのものだったから」

「……だが、俺は」

そんな大したものじゃない、と続けようとした飛龍の唇に、そっと白い指が触れた。

「有り難う。貴方に会えたから、私は前よりももっと人間が好きになれたわ。この世界を滅ぼしてはいけないと、以前よりも強く思う」

指は一瞬で離れたけれど。

まるで心に直接触れられたように熱い。

「飛龍に、会えて良かった」

少し濡れたように見える蒼の瞳が、妙に胸を高鳴らせる。

「貴方と出会って側にいて、共に過ごした時の一つ一つが、私の何よりの宝物だわ。かけがえの無い、何よりも大切な何にも代えられない尊い時だったの。私は、絶対に忘れないわ」

何故だろう。

輝夜の言葉は嬉しいものの筈なのに、胸が痛む。

それは水のように静かな口調のせいなのか。

不意に魅せられる大人びた横顔のせいなのか、それとも。

「貴方が教えてくれた人の優しさを、温かさを、寂しさを、痛みを、想いを私は決して忘れないわ」

それとも、まるでもう全てが過ぎ去ってしまって。

戻らない事のように語られるせいなのか。

「………まるで別れの時のような言い方をするのだな」

「そうね、お別れなの。私はこれから、天界へ戻るわ」

「何?どうしてそんな急に……!?」

思わず声を上げると、輝夜は寂しそうに笑った。

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