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「もう神の意志は決まってしまっているの。天神は、この豊葦原を無に還す事を定めてしまったのよ。私は最近ずっと、それを何とか止めようと地上から説得していたけれど、聞き入れてはもらえなかったわ」

「嘘だろう?名を掲げて戦って来た神が、この豊葦原を滅ぼすなど……」

「飛龍に嘘なんて言えないわ。貴方は私にとって特別な人だから。だから、だからこそ私は戻らなければならないのよ。どうにかして考え直してもらわなければ、この大地も人々も全て無に還ってしまうわ」

飛龍は少し考えてから息を吐いた。

「そうか。それでお前は、大地を治めるのに神など頼ってはいけないと言ったのだな」

「ええ。神が人を救うにしろ滅ぼすにしろ、その力を振るわれた時点で人間に選択の余地は無くなってしまうわ。それに所有される者という立場しか無くなってしまう。この豊葦原は、神のものになるのよ」

「そうだな。何であれ自らの手で支える事が出来るものを、我と呼ぶのだ」

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