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恋し過ぎて落ち着かない静けさの中で、想い出の優しさを知る。
一瞬一瞬の宝石の煌めきを胸に秘めて。
別れたままの君を待つ。
ひたすらに会いたい。
どうしてかは、自分でも分からない。
何となく落ち着かずにまほろばの宮を抜け出した飛龍は、一人馬を走らせていた。
何処へ向かっているのか自分でも分からなかったけれど、しばらくして高千穂に向かっている事に気付いた。
今、そんなに宮中を空ける訳に行かないのは分かっているのに。
彼女と出会い、そして別れたその地で、少しでもその存在を感じたかったのかもしれない。
まるで何かに呼ばれるように、心は急いて。
恋をして感じる苦しさは優しさも伴うと、思い出す時に知る。
愛しさを覚えて抱き締めた温もりを、今も覚えているから。
ひたすらに想い続ける。
君と出会えたから、誰かを想う心を知った。
その尊さを知った。
好きな相手には、いつだって幸せに微笑んでいてほしい。
今夜も君を捜して見上げる月に、祈りを込めて。
優しい光に焦がれる。
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Reservoir Amulet