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馬を降りて、彼女と再会を約束した泉へ向かう。

そこで思わず足を止めた。

泉のほとりに、一人の少女が倒れている。

月の光を返して輝く黄金色の髪、その身に纏う光る衣。

飛龍は慌ててその名を呼びながら駆け寄った。

「輝夜!」

膝をついて抱き起こし、輝夜の体が傷を負っている事に気付く。

顔色がやけに白く見えるのも、月光のせいだけではないだろう。

「輝夜!どうした、大丈夫か?」

声を掛けると、やがて輝夜がゆっくりと目を開ける。

「飛龍……?良かった、無事ね……」

「人の事を心配している場合か!一体何があった?」

「止めようと思ったの。天【あま】の岩屋戸【いわやと】に隠れてしまおうとしている太陽……私の姉上を。でも力が足りなくて駄目だった。それだけじゃない、大御神を止める事も出来なくて……何も出来なかったの。ごめんなさい……」

飛龍はそう言った輝夜を改めて見詰めた。

たった一人で戦って来たのか。

こんな細い体で傷付きながら、神を相手に。

それなのにその間、自分は何も出来ずに。

そう考えて、思わず微笑する。

輝夜が言った事と同じだ。

何も出来ない無力さを、二人は知っている。

「飛龍?どうしたの」

不思議そうに訊かれて首を振る。

「いや、何でもない。ただ、俺も同じだと思っただけだ」

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