09


そして夜の訪れと共に、選択の時はやって来る。

飛龍が輝夜の部屋に行くと、輝夜は廊に出て月を見上げていた。

一瞬声を掛けるのが躊躇われたが、輝夜の方ですぐに気付いて振り向いた。

「飛龍、来ていたの?」

その微笑に促されて、隣に腰を下ろす。

「考えて来たぞ、俺なりに」

「ええ。じゃあ聞かせて。貴方の選択を」

澄んだ大きな瞳に見詰められて、小さく息を吐く。

「考えれば考える程、笑ってしまう位単純な答えに行き着いたのだがな」

「物事は案外そんなものよ。難しくしているのは、そこに関わる人の心だから」

輝夜の声は何処までも穏やかで優しい。

この少女になら、どんなに無謀で愚かだと思える事を話しても受け止めてもらえる気がした。

きっと微笑んで認めてくれるだろう、彼女なら。

こんな生き方しか出来ない自分の事を。

「……俺は、力ずくでも神の考えを止めようと思う。天つ大御神と戦って、この豊葦原を勝ち取る」

ずっと迷って、悩んだ。

けれど口にしてしまうと、これしか無いと思えた。

「敵う敵わないの問題ではない。認めさせるだけだ。人の覚悟を、神の前に示してみせる」

『私は絶対貴方に認めさせてみせる』

そう言い放った輝夜の強さを、今こそ自分にも。

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