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輝夜は素直に頷いてから、ふと目を伏せた。
「私も、貴方に伝えたい事がある気がするの。でも上手く言葉にならなくて」
いつに無く不安そうな表情で、ゆっくりと語る。
「どんな時でも、貴方がいつも」
今まで感じた事の無い、不思議な感情。
胸が痛くて苦しくて、けれど決して不快ではなくて。
それは以前、育った故郷を出る時に置いて来た儚い夢に似て。
「いつも、胸を占めて。いつもどんな時も、飛龍の事を考えているの」
こんな感情は初めてで。
どうしたら良いのか分からなくて。
それでも、この行き場の無いもどかしさも幸福に思えて。
自分の至福となる。
「どうしてなのかしら」
「……それを俺に訊くのか」
そう言った飛龍を見上げると、珍しく困ったような顔をしていた。
「自分で考えてみてくれ。それでいつか聞かせてくれたら嬉しい」
「ええ……そうするわ」
輝夜は頷いてから明るく言う。
「じゃあ、皆に話をして来ないといけないわね。今回ばかりは勝手に行く事は出来ないもの」
「ああ、そうだな」
同意した飛龍が、ふと思いついたように隣の輝夜を見た。
「その前に、頼みがあるのだが」
「あら、なあに?」
「お前、舞が得意なのだろう?舞ってみせてくれないか」
その言葉に、輝夜は目を丸くして尋ねる。
「どうしたの?急にそんな事を言い出して」
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Reservoir Amulet