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太刀を握り直して、再度闇へと突き進む。

天の岩屋戸の方には、体中が引きずり込まれそうな程の黒い力が溢れている。

天照という光を失えば、世界中がこうなる。

そうなったら、もう滅ぶしか無い。

だから、此処で諦める訳には行かない。

更に深くに踏み込むと、激しい力が体中に降り掛かる。

衣や肌が焦げるような嫌な匂いが鼻についた。

意識が遠のきそうになった時、優しい手が太刀を持つ手に重ねられた。

横を見ると、輝夜が飛龍を気遣う瞳で微笑んでいた。

「有り難う、飛龍。皆の思いが、姉上の心を少しずつ動かしているのを感じる。後は私がやるわ」

その言葉と共に、輝夜の放つ力が一層強くなるのが分かった。

小柄な体が光に包まれ、その暖かさは重なる手から伝わって飛龍の全身も駆け巡る。

それは夜を治める神の力、全てを鎮める力。

地上を慈しむ女神とよく似た、大地の穏やかな力。

何処までも静かで優しい、荒れた大地を潤す水のように。

広く緩やかに大地を癒し緑を育む水のように。

優しい力は、どんな穢れも清めるように辺りに満ちて行く。

天の岩屋戸の隙間から、激しい閃光が放たれる。

天照の気持ちが動いている証だ。

輝夜は唇を噛み、自分の力を更に広げる。

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