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そして、不意に輝夜の顔が近付いた。
頬に、柔らかなものが一瞬だけかすって離れる。
「引き合う想いが強い程、どんなに離れてもきっと再び巡り会えるわ。貴方から私が消えても、いつかきっと」
飛龍の耳元で囁いてから、輝夜は皆を見渡した。
「有り難う。皆、体には気を付けて。飛龍の事、宜しくね」
微笑を浮かべ、再び飛龍に視線を向ける。
「有り難う、飛龍。私は忘れないわ。貴方が教えてくれた人間の優しさを、温かさを、寂しさを、痛みを、想いを。どうか貴方の道行きに、光がありますように」
そう言った後、輝夜の体は光に包まれた。
輝く衣を纏っているかのように神々しい光で満ちる中、その姿が遠ざかる。
「輝夜……!」
思わず叫んで手を伸ばした先の後ろ姿が、眩しい光で見えなくなる。
此処へ来た時と同じように体が浮くのを感じた。
激しい風がうるさい程に耳元で鳴っている。
『引き合う想いが強い程、どんなに離れてもきっと再び巡り会える』
愛しい声が、面影が遠ざかる。
それでも飛龍は大切な想い出の言葉を、最後まで胸で繰り返していた。
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Reservoir Amulet