06
街で暮らす人々の表情は明るい。
活気に溢れた生活の様子を確かめながら歩く。
そしてふと、店先に並ぶ髪飾りが目に入った。
思わず立ち止まり、手に取る。
青い花の髪飾りに、どうして此処まで心が動くのか分からない。
何となく似合いそうだと思ったのに、一体誰を思い浮かべたのかさえ。
「いらっしゃい!兄さん、想い人に贈り物かい?」
気が付くと、店の人が笑って話し掛けて来ていた。
「あ、いや……」
「いいねえ、若いってのは。あたしも若い頃は、そういうのを持って妻問いにやってくる人を待っていたもんだよ」
朗らかに思い出を語り出されて何となく断れなくなり、結局手にした髪飾りを買って店を後にする。
贈るあてなど、無いというのに。
何かが胸から欠け落ちているような気がして落ち着かない。
どうしてなのだろう。
歩き続ける内に、いつしか街の外れの方まで来ていた。
後ろを振り向いても、誰も追って来る気配は無い。
最近は諦めたのか、何も言わずに抜け出しても捜しに来る者などいない。
(……本当にそうだったか?)
『もう、飛龍!また黙って抜け出して。捜す方も大変なのよ』
(いつも誰かが懲りずに追い掛けて来て、文句を言い合いながら並んで歩いていたような……)
どうしても拭い切れない違和感が、胸を支配する。
誰を、誰を待っているというのか。
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Reservoir Amulet