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「待ってくれ!」

「え?」

驚いたように振り向いた娘を見詰める。

知っている。

この瞳も声も、彼女が自分にもたらしてくれた多くの事も。

忘れられない、大切な大切な。

「帰って来て、くれたのか」

心の何処かで、ずっと待ち続けていた。

この名を呼びたかった。

「輝夜……」

「……飛龍。私の事、覚えているの?」

「当然だろう。言った筈だ、お前は俺の民の一人なのだぞ」

輝夜は目を見張って飛龍を見詰めた。

忘却は承知していて、それでも同じ空の下同じ大地の上で生きて行けるなら充分だと。

自分が此処にいた記憶が消えても、共に駆け抜けた日々が世界の至る所に刻まれているから幸福だと。

それなのに今、会いたかった人が自分に手を差し伸べて微笑んでくれているなんて。

こんな奇跡が起こるなんて。

夢ではないと確かめたくて、輝夜は思わず飛龍を抱き締めた。

すぐに力強い腕に包まれ、夢ではないと教えてくれる。

二人は抱き締め合い、互いの熱を感じた。

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