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「お帰り、輝夜」
「……ただいま」
懐かしい温もりに顔をうずめると、涙が溢れそうになる。
「どうして覚えているの?貴方の中から、私がいた事は消えた筈なのに」
「覚えているに決まっている」
耳元で、飛龍が優しく囁く。
「この世界が在るのも、俺が此処にいられるのも、全てお前がいてくれたからなのだぞ」
「……本当に仕方の無い人ね。貴方には驚かされてばかりだわ」
「それはお互い様だと思うが」
僅かに体を離して、飛龍は輝夜の頬に一筋流れた涙を拭った。
「月の女神が地上にいる事の方が驚きだろう」
「私はもう神ではないわ。人になったのよ。そう、大御神に願ったの」
「本当か?神の力や、永遠の時も全て無くしたのか」
そう言うと、輝夜は潤んだ瞳のまま微笑む。
「ええ。でも後悔なんてしないわ。私は今、とても幸せだから」
真っ直ぐに見詰める瞳に、自分でも戸惑う程胸が高鳴った。
「貴方が私を知らなくても構わない。同じ世界で生きて行けるのなら。だから、私は人になったの」
「俺がお前を思い出さなくてもか?もしかしたら会う事さえ無いかもしれない。それなのに、お前は此処へ来たのか」
「そうね。それは寂しいけれど、離れているよりずっといいわ。同じ世界で生きて行けるのなら。そしていつか貴方が私を覚えてくれたなら」
そんなささやかで小さな、淡い希望を抱いて地上に来た。
けれど胸で繰り返す間に、それは逆らえない程大きくなって。
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Reservoir Amulet