17


目を通した書面を置き、強張った肩を回す。

「あー、疲れたな。飛龍はまだか?」

「さあ、そろそろじゃないか」

興味が無さそうに扶鋤が応じると、角鹿も顔を上げた。

「そうですね。ああ、ほら。お戻りになられたようですよ」

その言葉通り、足音が近付いて来て部屋の前で止まる。

「戻ったぞ。今、隣の部屋は空いていたな?」

抜け出した事に触れもしない飛龍に、溜息をついて角鹿が答える。

「はい、空いておりますが。どなたかお客人でも?」

その時、立ったままの飛龍の後ろから一人の娘が顔を覗かせた。

「皆……初めまして」

一瞬沈黙が降り、扶鋤の手から書面が落ちる。

「どうしたのだ、固まって。客人の一人位、別に困りはせぬだろう?」

「問題はそこじゃねえ!飛龍、誰なんだ!その娘はっ」

「一体何処から連れて来たのですか?」

「あら、賢彰達と同じ反応だわ」

感心したように呟く輝夜の横で、飛龍がうるさそうに手を振る。

「そう騒ぐな。こいつは輝夜だ。今日偶然再会して、連れて来たのだ」

「全くお前という奴は、仕事を俺達に押し付けて何を考えている。さっさと返して来い」

「そんな事出来る訳無いだろう、扶鋤。ようやく会えたのだからな」

平然と言う飛龍に、角鹿は息をついた。

「しかし、仮にも帝が姫を攫うなど……」

今日皆でそんな話をしたが、本当にそうなるとは誰一人思っていなかった。

こうなったら面白いと想像するのと、実際にそうなるのとは全く違う。

- 346 -






[*前] | [次#]

しおりを挟む


ページ:



Reservoir Amulet