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いつに無く真剣な顔を見て、扶鋤が本音を洩らす。

「いつもそれ位真面目なら、俺達の苦労も減るのだが」

「ええ、全く。こんな真剣な飛龍殿は、私も初めて見ましたよ」

「此処はやはり、文を書いて気持ちを伝えるべきでは?」

考えていた賢彰が提案すると、飛龍は苦笑した。

「文のやり取りならした事はあるが、何とも色気の無い内容だったぞ。輝夜は人間離れしているところがあるから、そういう正攻法では伝わらないかもしれんのだ」

「そうですかー。うーん、中々難しい相手ですね」

「そこがこの男には似合いなのだろう」

扶鋤が言った時、漣星が何かを思い付いた様子で手を叩いた。

「じゃあ、楽はどう?それで想いを伝えるんだよ」

(楽か……)

思い浮かぶのはあの想い出の夜の、天女の舞。

笛の音に乗せた想いは、彼女に届いただろうか。

「飛龍殿の楽ですか。聴いてみたい気もしますが、どんなものか想像もつきませんね」

「この男に楽なんて出来るのか?」

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