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「また?貴女は以前、飛龍殿の笛を聴いた事があるのですか?」
慌てた反応の飛龍を余所に、角鹿が尋ねる。
「え?ええ、一度だけだけれど」
「へえ、それは知らなかったよ。どんな状況だったんだい?」
「お、おい、余計な事を……」
止めようとした飛龍を無視し、皆は興味津々という顔で輝夜の話を促した。
「状況って、ええと……。夜に飛龍が私の所に来て、舞を見たいって言い出して」
「ふんふん、夜に。ちゃんと押さえるところ押さえてますねー!それから?」
「それから、楽の方は引き受ける、聴いてくれるかって」
「で、笛はどうだったんだ?」
赤羽に訊かれて、輝夜は瞳を輝かせた。
「とっても素敵だったの。だから是非皆にも聴いてほしいと思っていたのよ。私だけが知っているなんて勿体無いもの。ね、飛龍」
そこで初めて飛龍の様子に気付き、目を丸くする。
「どうかしたの?そんなこの世の終わりみたいな顔をして」
「……お前のせいだぞ」
「え、私の?」
驚いて聞き返すと、飛龍が深く息を吐く。
「もう良い。俺はもう笛など死んでも吹かんからな」
「えー、どうして?褒めたのに」
「あれはお前にだけ捧げたのだぞ。だからお前が知っていれば良い」
その言葉に、輝夜はきょとんと目を瞬いた。
「……?ええと、それはどういう……?」
「そこまで言わねば分からんか。全くお前という奴は鈍いにも程がある」
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Reservoir Amulet