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飛龍が高千穂宮へ帰ると、兵達と訓練をしていたらしい赤羽が近付いて来た。

「よお、お帰り。どうだったんだ?」

「どうもこうも無いな」

そう答えてから軽く笑って言う。

「随分と精が出るな」

「お前が兵を煽るからだぜ?おかげで朝からずっと放しちゃもらえねえ」

「そうか。では後で俺も混ぜてもらおう」

建物の方へ歩き出しながら続ける。

「扶鋤の部屋へ来てくれるか。話がある」

「ああ」

赤羽は汗を拭うと、飛龍を探るように見た。

いつもと変わらない様子、同じような口調。

それでも、何かが違う気がする。

強い光を灯す瞳の奥に揺らぐのは、怒りだろうか。

普段は憎らしい位に脳天気だというのに。

こういう時は、飛龍は決して心の内を口に出さない。

無理に聞き出すべきではないと思う。

けれど、だからこそ願ってしまう。

いつか飛龍を、心から支えられる存在が現れる事を。

飛龍は余計な世話だと迷惑がるだろうけれど。

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