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「どうしようもあるまい」
飛龍が苦笑気味に肩をすくめる。
「とにかく、今のままでは屋敷には入れぬ。まだしばらく俺は村の様子を探る。村人の噂話というのも、案外馬鹿に出来んからな。上手くすれば、使える情報が手に入るかもしれん」
「じゃあ俺は、領主の屋敷の結界とやらを確かめに行くか。もしかしたら入り込む方法を見付けられるかもしれねえしな」
「二人共、くれぐれも正体に気付かれないよう気を付けるんだぞ。領主に警戒されては討つ機会を逃しかねない」
釘を刺した扶鋤に向かって飛龍は軽く笑った。
「案ずるな。そんなへまはしない」
「そうそう。大体こんな奴が帝や将軍だなんて、普通夢にも思わねえぞ」
「それはまあ、そうだろうな。しかし万が一知ったら、皆は失望して泣くだろうな」
苦しい生活の中で、いつか新たな帝が救ってくれると、それだけを希望にしている者も多い。
その希望がこれでは、暴動も起こりかねない。
「そうだなあ。これだけは、絶対に隠し通さないとな」
「ああ。知らないままでいた方が幸せな事もある」
「……お前らも甚だ失礼だな」
しみじみと頷き合う二人に息をついて、飛龍が立ち上がる。
「では俺はそろそろ部屋に行くぞ。明日からも引き続き頼む」
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Reservoir Amulet