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真っ直ぐに見る事の出来ない太陽よりも、月の優しい光に心を奪われる。

見詰めると落ち着くのに、妙に胸がざわめく。

あの悲しい程の清廉さが、穢れた身を隅々まで洗い暴く気がするからか。

(下らんな。どうあっても俺は変わらないというのに)

哀しい程の美しさが、自分の浅い心の奥まで照らす気がするのは。

そうであってほしいと望んでいるからだろうか。

世界は綺麗事だけで回っているのではないと、幼い頃から思い知っている故に。

せめて自分だけは綺麗に生きて行きたいと。

絶対に叶わないから、そんな生き方に焦がれているのか。

自分でも気付かない内に。

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