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「ああ、最近は物騒だからね。特に高千穂の領主なんてひどいもんさ」

「高千穂?」

聞き返すと、男が僅かに声を低める。

「何でも若い娘を手当たり次第攫ってるらしい。お嬢ちゃんはまほろばへ行くんだから大丈夫だろうが、気を付けた方がいい。此処にまで噂が広まってるって事は余程ひどいんだろうからな。新しい帝が立ったし、何とかしてくれるといいんだが」

輝夜はもう少し話を聞こうとしたが、男がやって来た他の客の応対に向いてしまったので、諦めて歩き出した。

買ったばかりの刀を懐に仕舞って、今聞いた話を頭の中で繰り返す。

(高千穂へ、行ってみようかしら)

本当の事なら、とても放ってはおけない。

まほろばとは逆方向だから遠回りになってしまうけれど、行かなくてはならない気がする。

輝夜はしばらく考えた後で着物を扱う店に寄り、持っていた自分の着替えと男物の衣を交換した。

それから矢を買い足して市を後にする。

もうすぐ日が暮れるけれど、貧しい中から両親が持たせてくれた路銀にも限りがある。

まだ先は長いのだから今日も野宿をする事に決めて、再び街道に出た。

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