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衣を改めてからは男に絡まれる事は少なくなったが、荒御魂との戦いは変わらずにあった。

荒ぶる神は容赦無く道行く旅人の命を奪おうとする。

これは、間違い無く。

(神々が、人間に害悪を持っているのね)

昔から輝夜には、人間の言葉を話せないもの達の気持ちが分かった。

水や風や木々や花、それに神々の声も輝夜の心には届いた。

こんな事を言うと気味悪がられるし、村の子供達に余計苛められるから話さなかったけれど。

今はそのおかげで危険を感じ取る事が出来る。

だから今まで多くの旅人が命を落とした難所の幾つかを、全て無事に通り抜けて来れた。

(それでも油断は出来ないわ)

神の前では人間などちっぽけで、取るに足りない存在なのだから。

輝夜が気を引き締めて歩いていると、不意に道の向こうから悲鳴が聞こえた。

同時に荒れた神の声が、胸に刺さるように響く。

(……っ、誰か、襲われているの!?)

輝夜は戸惑う事無く走り出し、緩く曲がった道を抜けた。

視界に荒御魂と、それに襲われている旅人の姿が飛び込んで来る。

立ち止まり、弓に矢をつがえて放つ。

矢は真っ直ぐに飛び、荒御魂に当たった。

胸に直接響く声が一層大きくなる。

泣くように、叫ぶように胸を切り裂くような声。

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