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高千穂に近付く程、その地の領主についての噂はよく聞くようになった。
そしてその内容は、聞いているのも辛くなるような凄まじいものだった。
収穫した物のほとんどは税として取り上げられる。
刃向かったり逃げ出そうとすれば、間違い無く牢に入れられる。
下手をすれば殺される。
また理由も無く若い娘を連れ去っている。
人々は密かに囁き合っている。
そんなひどい事をしているのに、今まで咎められたりしなかったのは。
平気で民を虐げていられるのは。
上官に金をばらまいているだけではなく、或いは。
この国の最高権力者を味方に付けているからかもしれない。
まほろばの宮の、帝を。
先帝は病に倒れてからは役人に言われるままの政を行った。
実状を何も知らないで、自分にいい顔をする者に高い地位を与えていた。
今の帝も変わらないのではないのかと。
正しい統治をするつもりなど、最初から無いのではないかと。
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