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「お前のその笑顔には裏があるな。今、心の中で俺を馬鹿にしただろう」

「いえ、別に。行くのならさっさと支度をなさって下さい。夜の内に出るのでしょう?」

「何だ、角鹿。やけに物分かりが良いじゃねえか」

驚いたように言った赤羽に、角鹿は柔和な微笑を向ける。

「これ以上付き合っていたら私の身が保ちませんので」

棘のある口調に肩をすくめて、飛龍が支度をする為に立ち上がる。

その後ろ姿を見ながら、赤羽は呟いた。

「もう良い頃、か……」

飛龍が帝の座に就いたのはその父、龍眼【りゅうがん】が逝去してしばらく経ってからだった。

龍眼は病気で伏せりがちだった事もあり、政のほとんどを周りに任せ切りだった。

それを良い事に、好き勝手をして国の為に集められた富を奪った者もいる。

長く続く戦に疲れ、高い税に喘ぐ民の生活は、もう限界に達しようとしていた。

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