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「これ位何でもないよ。あたし達村の者は、見ているだけで何も出来なかったんだから。勇敢なあんたに比べたら情けないったら」

「そういう訳ではありません。私は気付いたら勝手に体が動いていただけで」

輝夜は、再び日常の仕事に戻った村の様子を見て続ける。

「それに村の人達は逆らったらどうなるか知っていたでしょうから、仕方ありませんよ」

「そうだね、あたしも動けなかった。あの子を庇ってくれた、優しいあんたに礼を言うよ」

「いえ、とんでもありません。ところで、この村はいつも見張られているんですか?」

輝夜が尋ねると、老婆は村の中心に立つ役人に目を向けた。

「ああ、そうだよ。領主様の命令で見張っているんだから従えと言ってね。何かあればすぐに鞭で打たれるから、あたし達も逆らえないのさ」

「そうですか……。全く、ふざけていますね。そんな事で人の心は動かせないのに」

そう言うなり弓矢を構えた輝夜を見て、老婆は目を見張った。

「何をする気だい?」

「見張りを追い出します。そうすれば、この村の人達は怯えずに生活出来るでしょう?」

「あんた、実はかなり怒ってるのかい?さっき優しいと褒めたばかりじゃないかね」

驚いたように老婆が言う。

「それに、旅の人がそこまでする必要は無いよ。止めときな」

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