08
青年の背中が見えなくなった後も、輝夜はその場を動けなかった。
受け取った弓を握り締めたまま、しばらくその場に立ち尽くす。
囲まれて攻撃を受け、思わず弓を取り落とした時に転んでぶつけた所が痛む。
でも、これだけで済んで良かったのだろう。
あの人が来てくれなければ、どうなっていたか。
通り掛かって、助けてもらわなければどうなっていたか。
「…………」
自然に二人で地面に倒れ込んだ時の事を思い出し、顔が熱くなる。
あんなに近くで男の人の顔を見たのは初めてだった。
呼吸を感じて、体の熱が伝わって。
それなのに。
「あの人……多分私が女だって気付いていなかったわ」
男装をしているから仕方無いとはいえ、全く気付かれないのも何だか複雑だ。
当分の間は立ち直れなくなりそうな自分を何とか励まし、衣の汚れを払う。
それから再び青年が立ち去った方を見た。
(さっきあの人に会った時、何だか吸い込まれそうな位深くて大きい……そんな気がしたんだけど、気のせいかしら?)
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Reservoir Amulet