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普通の人ではないような、見えない威光が取り巻いているような。

そう、まるで。

(まさか、こんな所にいる筈無いわよね)

輝夜は自分を納得させるように頷いて、弓を握り直した。

(とにかく、さっきの事は気にしないようにしよう。通り掛かっただけの、もう会わない人だと思うし)

出来るなら会いたくない。

男の身なりはしているけれど女なのだから、戦いの中いきなりあんな事になるなんて、最悪の出会いと言っても良い。

頭を振って、無理矢理思考を切り換える。

(村へ行こう。役人を追い出したのは、私だもの)

あの青年は高千穂から出るよう忠告してくれたが、残念ながら聞き入れられない。

もう既に、責任が生まれてしまったから。

この地を離れる訳には行かない。





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Reservoir Amulet