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村に入ってすぐに、以前とは雰囲気が違う事に気付いた。
それも、悪い変化ではない。
村人の表情も、前よりずっと明るい。
「ああ、あんた。また来たんだね」
声を掛けられて振り向くと、顔馴染みとなった老婆が近付いて来た。
「おはようございます。何かあったんですか?」
「分かるかね?昨日、勇敢な旅の人が見張りに向かって矢を射てね。村から見張りを追い出してくれたから、ずっと暮らし易くなったんだよ」
「旅の人……?」
ふと、今朝会った少年の事を思い出した。
彼は確か、弓矢を持っていた。
「それは、もしかして黄金色の髪の?」
「そうそう。珍しい髪の色だったねえ。あんた、知り合いかい?」
「いえ」
飛龍は短く答えて息をついた。
こんな事を確かめてどうしようと言うのだろう、自分は。
きっともう二度と会う事も無いのに。
だが、それでも。
もう一度、村の中を見回して呟く。
「まだ捨てたものじゃない、か」
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Reservoir Amulet