20
ひかりが寝る部屋へ入って行くと、勇は息をついてベランダに出た。
外に出ると雨の音は一層大きく、屋根があっても風が吹く度に雨粒が打ち付けて来る。
手すりに手を掛け、ぼんやりと前を見る。
暗い中、街灯のある所だけオレンジ色に光る雨粒が見えた。
『お前なんか生まれて来たって誰も歓びやしねえよな』
不意に頭の中で響いた言葉に、大きく息を吐き出す。
割れたガラス、女生徒達の悲鳴、教師の怒鳴り声。
そして、顔に当たる激しい風。
「勇?風邪引くよ」
はっと顔を上げて振り返ると、ひかりが心配そうな顔で立っていた。
急に現実に引き戻され、しばらくはただひかりの顔を見詰めるしか出来なかった。
やがて勇は大きく息をつき、口を開く。
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Reservoir Amulet