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その日の夜、バイトを終えた勇はアパートの階段に足を掛けながら息を吐いた。

何だか今日は心身共に疲れる一日だった。

しかも、まだ終わらない。

あの記憶喪失な上に妙に銃の扱いに慣れた少女を警察に連れて行くのだ。

警察なら保護するなり身元を突き止めるなり、上手い具合にやってくれるだろう。

考えながら部屋の前に立つと、ドアの隙間から光が漏れていた。

ひかりが中で待っているのだから当然だが、何か不思議な感じがした。

ずっと、真っ暗な部屋に入って行くのに慣れていたから。

『有り難う、と言える人間になりなさい。何の含みも無くそう言える人に、悪い人はいないから』

ふと頭の中で響いた言葉を掻き消すようにドアを開ける。

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