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お世辞にも広いとは言えない遊び場に、子供達の歓声や笑い声が響いている。

勇は足を止め、その子供達を眺めた。

此処に来るのは久し振りだ。

かつて自分が住んでいた場所。

親がいなかったり、預けられたりした子供達の家。

施設。

此処にいた時も、自分はあんな風に他の子供達と遊んだりはしなかった。

いつも、大抵は。

建物の方に目を向けると、一人の子供がいた。

机に向かい、一人黙々と本を読む少年。

そこに昔の自分を見出したような気がして、勇はしばらくその少年を見詰めていた。

彼にも、いつか現れるのだろうか。

優しく全てを受け入れる人。

そっと全てを抱き締める人。

出会えたらいい。

それはきっと何よりの力になるから。

それはきっと、生きている歓びになる。

そこへ誠がやって来た。

本を読む少年に何か話し掛け、ふとこちらを見る。

勇の姿を認めると外に通じるガラス戸を開け、外に出て来る。

勇もそちらに歩み寄った。

「どうしたんだい、勇。今日の夕方辺り、傘を返しに行こうと思っていたんだが……」

「いや、少し……。訊きたい事があったんだ」

誠は微笑んで勇を見詰めた。

まるでその言葉を待っていたように言う。

「いい瞳になりましたね」





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