05


両親を亡くし、育ての親であった祖母まで亡くし。

たった一人で。

「学校にもろくに行かなかったけど、専門的な事を依頼されても良いように、科学や語学とかの勉強も自力でしたの」

身に染み込む程、ただ必死に。

分厚い専門書を何冊も読んでは理解し、頭の中に刻み込んだ。

「その内に段々仕事が入り始めて、何とかやって行けるようになった。それまでは敢えて読もうとしていなかった両親の仕事のデータを見たのはその頃。私が13歳の時だった」

窓の外では、風が音を立てて吹いている。

ひかりは窓に目を向けて続けた。

「それには両親が最後に携わっていた仕事の事も書いてあった。依頼の内容は、一人の少年の護衛。その少年の名は、神崎勇」

「な……」

風で、窓が小さく音を立てた。

ひかりが勇の方に視線を戻し、静かにその目を見返す。

勇はその大きな瞳から目を逸らし、額に手を添えた。

自分を守ろうとして、ひかりの両親は命を落としたのか。

そして確かに自分には施設にいるより前の記憶は無い。

全ての問題は、全ての事態は、全て自分に跳ね返って来る。

悲しく、残酷に。

何もかも、自分の。

「勇のせいじゃないよ」

「だが……!」

再び合ったひかりの目は、優しく微笑んでいた。

その瞳のまま、少女はもう一度言う。

「勇のせいじゃない。言ったよね?私は、貴方を守る為に此処に来たの」

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