09
「……まさか、お前」
勇の視線を受け止め、寂しげな微笑を浮かべたひかりは言った。
「両親の仕事のデータを見てから、私ずっと勇を捜してた」
「俺を?」
「もしかしたら今もまだ、命を狙われているかもしれないし。仕事の途中で両親が死んだのなら、依頼はまだ果たしてないもの。跡を継いだ私がやらないと」
そこで、ひかりの瞳がふっと曇った。
「でも、見付けられなかった……。どれだけ捜しても、途中で途切れちゃって。ずっと捜したのに。ずっと、誰より会いたかった人なのに。見付けられなかった……」
会いたかったのに、誰よりも。
ずっと、いつしかそれが自分の全てになる程。
捜したのに、捜し続けたのに。
「そうか。つまり俺は……」
勇が後を引き取って冷静に続けた。
「この先、近い内に……殺されるんだな?」
俯いたひかりは、膝の上で手を固く握り締める。
「そんな事、信じたくなかった。お父さんとお母さんが守り切れなかったものを、私もただ守りたいって。そう思っていただけなのに」
守りたい人は、もういない。
もう会えない。
もう二度と。
「何も……何も出来ないで、無くしてしまったなんて」
全てが壊れた気がした。
世界が音を立てて崩れて行くような。
支えを失ってしまったような。
ただ守りたかっただけなのに。
きっと自分と同じ位寂しく、悲しい思いを知っているその人を。
ほんの少しで良いから守らせてほしかっただけなのに。
抗えない、時の流れには。
……どんな事をしても?
- 130 -
[*前] | [次#]
しおりを挟む
ページ:
Reservoir Amulet