04


たったそれだけで、生きて行く理由になるのだと。

自分には何も無いと。

大切なものも奪われるものも無いと。

そう思い込んで過ごしていた日々。

本当は気付いていないだけで、溢れる程に満たされていたのに。

沢山のかけがえの無いものを持っていたのに。

どうして、それら全てに感謝する事を知らなかったのだろう。

「勇、どうかした?」

じっと見詰められ、ひかりが首を傾げる。

「……いや、何でもない」

「そう?」

不思議そうな顔をしたひかりは、笑って言った。

「勇、何だか変わったね。記憶が戻ったのは私なのに、私よりも変わったみたい」

「そうか?……そうかもな」

変わって行くのは、悪くない。

こんな愛しい想いを抱けるようになるのなら、尚更だ。

「じゃあ黒矢さんが来るまでに、私達も準備しておかないとね」

「ああ」

覚悟を決めよう。

どんな残酷な現実も受け止めて。

未来を変えて行く覚悟を。





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