09
部屋の隅でうずくまる小さな影に向かって引き金を引いた時、護衛の二人がその前に飛び出した。
銃弾を受けて傷を負いながらも、揺らがない瞳が真っ直ぐに見据える。
「その子には手を出すな!俺達さえ殺れば充分だろう!」
白衣を着た父親が、息子を庇うように叫んだ。
その腕の中で、妻も無言で見返して来た。
「……忘れないで……。いつかきっと、貴方も光に会えるから……」
荒く息をつく護衛の女性が口を開く。
彼女を支える男も、何故か案じるような瞳を向けていた。
この状況で、恨むのではなくひたすら静かで。
そして、真摯な瞳を。
「信じる事を恐れるな……」
雷が鳴った。
感情を捨てて機械的に動きながらも、これまでとは何かが違った。
仕事ならば何も感じず、痛みも覚えず。
幾人もの命を奪って来たそれまでとは。
やがて訪れた静けさの中、激しい雨音だけが外から聞こえる。
雷光が閃き、赤が視界を埋め尽くす。
動かなくなった彼等を見た途端、何かが不意に心を動かした。
一体何がそうさせたのかは分からない。
ほとんど無意識の内に部屋の隅へ歩み寄る。
幼い子供は目の前で起こった出来事にショックを受けたのか、気を失っていた。
手を伸ばし、抱き上げる。
そのまま外へ出て、嵐の中を駆けた。
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Reservoir Amulet