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手元の書類に書かれている内容は、全く理解出来ない。

けれども、ひかりの言葉を聞きながら眺めている内に、胸に暖かなものが満ちて来た。

悲しい別れが最後となった、両親の記憶。

しかし、まだ確かに生きている。

その意志は残っている。

そんな気がした。

「ソウル・ガーディアン、魂の護り人か」

「え?」

呟いた勇を、ひかりが不思議そうに見る。

「魂を、心を護るって、こういう事か。有り難う」

何も持っていないと思っていた、以前の自分。

でもそんな事は無いのだ。

この小さな心には余る程に、恵まれている。

満たされている。

「ひかり」

「うん」

自分の言葉を待つひかりを見詰めて、勇は続けた。

「俺は、両親の研究を継ぐよ」

書類の束を胸に抱き、足を進めてガラスに手を当てる。

「これは恐ろしい研究だ。一歩間違えれば大きな問題を招く研究だ。だからこそ、俺は人の役に立てるよう導いて行きたい。それが、残された俺に出来る事だと思う」

ずっと、教師になりたいと思い続けていた。

人の役に立つ、導ける存在になりたいと。

けれどそれは、こういう道に進んでも叶えられる。

誠に教えられた優しさや救いを抱いたまま、両親の遺志を継げたなら。

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