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嵐は過ぎ去り、濡れた空は広く晴れ渡る。

研究施設の屋上に出た勇とひかりは、眩しい光に目を細めた。

「これから忙しくなるね、勇」

「ああ、そうだな。国家機密に関わる研究者になるなら、今まで以上に勉強しないとならないしな」

「勇なら、出来るよ」

微笑んだひかりが、僅かな沈黙の後で付け足す。

「未来は変わって、新たな道が拓けた。貴方を護るという私の役目は終わりだね。だから、そろそろかな」

「……何がだ?」

怪訝に思った勇は、隣のひかりの方へと目を向けた。

見ている中で、屋上の手すりに乗せられた手が透け始める。

「此処には、今十歳の私がいるの。私は、十年後の未来に帰らなきゃ」

「おい、ちょっと待て。そんな急に……」

思わず腕を掴もうとした手は、何にも触れられずに手すりに当たる。

「体には気を付けてね。事故とかで、うっかり死んだりしないように」

次第に薄れ行くひかりの寂しそうな微笑に、勇は必死で告げる。

「待ってくれ。俺はまだ、お前に言いたい事が……」

「大丈夫。十年後に、きっとまた会えるから。会いに行くから、待ってて」

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