08


瞳を輝かせたひかりは、考え込むように額に手を当てた。

「あ、でも……。私、急にいなくなっちゃったし。何にも変わってない、あの頃のままだし。変に思われるよね」

「大丈夫だろ。あの後、俺がちゃんとフォローしておいてやったから。友達なんだから、会えるだけで嬉しいだろ」

「……うん」

「あと、先生も相変わらず……」

言い掛けて、隣から見上げて来る視線に気付いて言葉を止める。

「どうした?」

「あっ、ううん」

慌てて首を振ったひかりが、微笑んで付け足す。

「勇が、何だか変わったなって」

「そうか?」

「うん。十年、経ったからかな。ずっと大人になったみたい」

息をついて、何処か寂しそうに続ける。

「十年は、長いから。当たり前のことだけど……。でも、一緒にいたかったな。私も、もっと早く生まれたかったよ」

「何言ってんだよ。これから一緒にいればいいだろ」

軽くひかりの頭を叩いて、何でも無い事のように言う。

「俺の命を護ったのは早く生まれたお前じゃなくて、今此処にいるお前じゃなかったか?そんな顔してないで、前みたいにのんきに笑ってろ」

「のんきって、褒めてるの?」

複雑な表情をしたひかりに、思わず笑みを浮かべる。

「ああ、勿論。……お前さえ望むなら、これからずっと側にいるから」

「うん」

どちらからともなく結ばれた手が、一緒にいると教えてくれる。

笑ってくれるなら、それだけでいい。

笑い合える事が、何より嬉しい。





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