09
一番奥の扉の前に立ち、繋いでいた手を放す。
二人で顔を見合わせてから、ゆっくりと扉を押し開けた。
そこに広がる空間には、活気が満ちていた。
白衣を着て忙しく動き回る者や、パソコンを操作している者。
皆がこの仕事にやりがいを感じていると伝わって来る。
揃って中に踏み込むと、宴が近付いて来た。
「お久し振りです、ひかりさん」
「はい。今日からまた、宜しくお願いします」
二人に気付いた研究者達が、周りに集まり出す。
そして歓迎の笑顔で、ひかりに声を掛ける。
丁寧に挨拶を交わした後で、勇とひかりは部屋の奥へ向かった。
大きく分厚いガラスに手を当て、向こうにある装置を並んで見詰める。
「十年前も、こうして此処からあれを眺めたっけな」
「そうだね。あの時から、大分研究が進んだみたい。それに、私が飛び込んだ時からも」
「変わったからな。色々」
巡る時の中で出会い、様々なものが変化した。
そしてそれは、自分自身も同じだ。
「これからも、何か変わって行くかな」
「多分な。でも俺は、もうどんな変化も恐れない」
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Reservoir Amulet